ベックの2014年のアルバム「モーニングフェイズ」がグラミー賞を受賞した。
1994年に負け犬「LOOSER」で、ゴミの掃き溜めから生まれてきたような若者が(実はセレブ街で育ったぼっちゃまであるにせよ)、このような円熟した大人になるのはとても素敵な歳の取り方である。
デンジャーマウスとタッグを組んだ2008年の「MODERN GUILT」では、資本主義以降の無意識に成長する世の中に堆積するほころびのようなものをロックンロールでクールに表現。
背景にはヘルニアに見舞われ(アルバム発売後悪化したという)、自分と自分をとりまく環境というのを深く省みるようになったことが一つある。
そして、それ以降ヘルニアは悪化して、本格的なツアーは行っていない。2009年以降日本にも来ていないし、車椅子で移動する目撃情報も聞いていた。(相当!)
しかし、2014年にカムバックしてこの美しき「MORNING PHASE」を発表してくれたことは本当に嬉しかった。
長い長い暗がりのトンネルを抜けて、現れる光のような、まさしくモーニングフェイズ、地平線から浮かびあがる太陽が幾度となく希望を与えてくれる、そんな作品だ。
HEART IS A DRUMはオザケンの「心臓はビートを奏でる」モチーフを膨らませて風景画にでもしたかのような美しい曲だし、BLUE MOON(昼間の月)とか普段意識的に眺めることのない対象をテーマにしたり。
極めて地球と私みたいな神目線がとてもいいです。
2001年宇宙の旅のスケールで、モーニングフェイズを感じていただけると素敵かもしてません。(should be played loud!!)
そして私がベック好きなのは、ベックの世界との距離の取り方がしっくり馴染むし、
(端おるけど)現代の利便性の高さや、あらゆるものへのアクセスのしやすさというものが、
逆に根本的なものを阻害している感覚があるんだよな。
ひとえに時代の空気感をしっかり捉えて音にする人で、
それはボブディランとかが今も言葉を変えながら
新しいものを生み出し続けるのと同じように
時代の語り手である。それが音楽だと思うのです。
つまり、何が言いたいかというとビヨンセのアルバムとかはすごくどうでもいい、
また来年アルバムでも出して受賞してくれって感じです。
そして授賞式パフォーマンス。ぬぬ、なんだこの草食度の高さは!!
withクリスマーティン(coldplay)
P.S.フジロックキャンセルしたり、無礼なカニエのバーカ!!
そしてかっこよすぎるプリンス!