下北沢のシンガーソングライター東京ゾンビのブログ。

仕事と音楽のバランス感覚を喪失しながら、
半体制半オルタナティブなマインドで音楽を鳴らす。
ギター弾き語り〜打ち込みまで日々実験中。

*各種ライブ/DJ/楽曲提供依頼等受付中。詳しくはWEBを。
<< August 2019 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

薬物に奪われた息子の映画「ビューティフルボーイ」

ジョンレノンが息子ショーンに捧げた名曲、ビューティフルボーイ由来の父と子の話うんぬんのタレコミだったが、すっとこどっこいすごく重たいかつ旬なドラッグに関しての映画であった。
依存症の恐怖をとても真剣に伝えており、とても理解が深まると同時に話の構成がとても良くできているため、ハラハラしながら観賞しました。


とても仲がよく、真面目で優秀だった自慢の息子が大学進学を機にドラッグに惹かれ、そのエゲツない依存の恐怖を描いてます。それがなんとまぁつらくてつらくて。

 


この映画の特出すべきは、ドラッグ当事者の目線よりもその父親、その周りの家族の目線で描かれている点。どんなに手厚く手を差し伸べても、ドラッグ克服は最後は当事者が乗り越えなければならない。君の代わりになってあげたいよ、でもできない。父親の無念が痛いほど伝わってくるし、驚くべき方法まで手を尽くします。
もちろんドラッグに手を出してしまう動機、すなわち心にぽっかり空いた穴、人生への欺瞞、すこぶる不安な気持ち、少なからず感じたことのある人ならわかると思いますが本当につらい。それが慢性的に訪れたとしたら?そして一時的にも確実にそれを回避できる方法があるとしたら?


もしかしたらそれらの条件と、たまたま手にしてしまうタイミングが合致してしまった時、あなたは手を出さないと言い切れるだろうか?


でもこの映画を見たら、ドラッグに手を出すことを今まで以上に避けることになるでしょう。


危険性の高いドラッグを手に出したことにより、もはや誰かが常に一緒にいないと高確率で再発してしまう衝撃。なので、社会的自立というのは不可能に近いという現実をこの映画は巧みに伝えています。


手を出したら終わりだということ。それを伝えるために深く練られたストーリーは強いメッセージ性をはらんでいました。


昨今、テレビ、SNSでよくわからないでうわべで語られる言説が多い中で、とても重要な意味をなす素晴らしい映画でした。


そして、危険ドラッグに本当に手を出さないでいてほしいと願うばかりです。でもやっぱりそこはかとない鬱感や倦怠感による死の意識はたまに訪れるよね〜、その辺の話はまたおいおい。


あと、とてもグッときたのはシガーロスのこの曲の入れるタイミングね。ウェスアンダーソンのライフアクアティックのラストシーンもどうアルバムの曲使ってるけどさ、シガーロスの使い方センス大事ね。(曲名読めない)

 

 

▼新宿シネマカリテにて上映中
http://qualite.musashino-k.jp/movies/6778/

 

 

JUGEMテーマ:映画の感想

陰謀論映画「アンダーザシルバーレイク」

2回分ブログサボって、令和初日は風邪引きですみませんが、映画の感想です。

 

 

全然映画のアンテナ張ってないので、プチ話題になってたの知らなかった本作を早稲田松竹で鑑賞。とてもツボりました。

 

過ぎ行く日常に課題や使命が与えられている時、それは大部分の場合仕事を指すかもしれないが、大抵の人はそれをこなす。

それらをこなして報酬を与えられ、また明日、また明後日、また来年、死ぬまでの人生の道筋を作る。

逆にそれらがないと考えた時、人生には長い空白ができ、それらを埋めるものが必要になる。

 

この映画の主人公は脚本家を夢見ながら、なかなか芽が出ず、人生に空白を作ってしまった男の話だ。

舞台はハリウッド、夢追い人が集まる街、シルバーレイク。夢を見つつどこか浮ついた青年に突然訪れる恋。そして突然消えてしまうその女の証跡を辿っていくと、この世界及び自分の存在価値をひっくり返してしまいそうな隠された事実が待ち受ける。

 

そんなストーリーだけでちょっとそそるのだけれど、わかりやすいアウトラインの中でデビッドリンチ的な不可解な出来事や話の飛躍が混じる点がサブカルセンサーを刺激します。また、村上春樹的な僕と僕をめぐる世界の冒険感もあり、もやもやわくわく感溢れるのもたまらない。

 

主人公は全く働いていないし何も生み出していない。そんな中で手がかりをおって、その消えた女を捜索するのが、そもそも捜索している女なんて一度会っただけでロクに中身も知らないのに執着してしまう感じ、ゲーム感覚で依存的にそれを解決しようとしている感じは、何ともオタク的だ。

 

それでも次から次へと課題や関連情報が出てきてのめり込んでいく感じは、ネットサーフィンをしている時に現れる関連動画や、ふと調べ物をするためだけにスマホを触ったら余計な情報まで調べだして止まらなくなってしまう習性を醸し出す。

 

何かの解説で菊地成孔か誰かが、この主人公はスマホを使わずに足を使って調べる点で、アンチスマホを表現していると言ってて面白かったが、彼の行動それ自体が私はスマホでやっていることだなぁと思わずにはいられませんでした。

 

次から次へと与えられるいわば「餌」は、広義において我々が享受してきたポップカルチャーへの愛なども虚構である…

なんて都市伝説的なオカルトにまでつながる奇想天外なストーリーとほどよいわからなさがぐっと心を鷲掴みにする。

その辺が人生の空白ともつながってくるのだけれど、この辺は見てのお楽しみに。私たちの空白にもグッと刺さる物語でしょう。

 

そういえば19世紀に社会保障が生まれたのって、もちろん格差是正や生活改善もあるけれど、産業革命で必要となった人というリソースをしっかり維持するためという体制側の思惑もあったのだと、予備校教師が言っていたのを思い出しました。令和というイベントもエサ感すごいですね。

 

最後に、主演のアンドリューガーフィールド結構好きて、アメイジングスパイダーマンやハクソー・リッジ、沈黙にも出ているけれど、母性本能くすぐる可愛いダメ顔にグッとやられてしまう、まさしくこの役どハマりでした。

 

 

 

JUGEMテーマ:映画の感想

愛しのブエナビスタソシアルクラブ
本題に入る前に。オークションサイトで1億5000万円で落札された作品を、落札された直後にシュレッダーにかけたことで日本でも一躍有名になったバンクシー。

その認知度が手伝って、最近日本でもらしき作品が見つかり話題に。しかし、日本のワイドショーに取り上げられると、なんだかチープ感出るこの国はすごい。 シュレッダー事件に対しての本人のコメントはピカソの言葉を引用していた。

「いかなる創造活動も、はじめは破壊活動からはじまる。」

というように、アート的破壊活動であり、また権威や金持ちや所有欲へのNoでもあった。

今回の騒動が日本での知名度を上げ、小池百合子が可愛いねずみさん的な感じで取り上げてマスメディアのおかずになる感じ。消費されてる感はんぱなく、何とも言えない気持ちになる。しかしかく言う自分もそんなに詳しいわけではないからこれ以上深く語らない。それでも日本のマスメディアでバンクシーを知った1%の子供でも意識が変わっていけば素晴らしいことだとは思いますが。

そして、一人歩きで有名になってしまう現象というのはそれこそYouTuberの時代や炎上の時代において往々にしてあるのだけれど、素晴らしい本質以上に熱が上がりすぎた現象として、ブエナビスタソシアルクラブもそうなのかもしれない。というか2018年公開の続編のブエナビスタソシアルクラブアディオスはそう言った投げかけを放っていて、冷や水をかけられた感があったのだ。

※以下わりとネタバレ的な書き方ですが、別にオチのある話でもないので気になる方以外はご一読を※

オリジナルのストーリーは、引退して老いぼれたキューバのミュージシャンをかき集めて演奏させたら、引退なんて信じられないくらいの実力を兼ねそろえていて、現役時代を遥かに仰ぐ人気者になってしまうという痛快な話だ。

1990年代の終わりに世界的ムーブメントとなったキューバ音楽の決定版ドキュメンタリー。そして実際に音楽がすばらしいだけでなく、彼等が音楽を続けられなかった政治的背景などが綴られ、屈折の人生にもこんな美しい花が開くことがあるのかと、世界中が涙した。その人生の逆転劇の痛快さもさることながら、ミュージシャンたちのキャラ立ちも半端なく、一人一人の顔のしわやしゃべり方を見ているだけで胸が熱いのだ。

アメリカのミュージシャン、ライクーダーがそのリボーンのきっかけを、そしてその現象に何か特別なものを感じていたライクーダーのアトモスフィアにインプレッションを抱いたロードムービーの巨匠ヴィムヴェンダースによる映画化で、彼等は世界中から引っ張りだことなる。エンタメ大国アメリカと国交断絶していたキューバのある種再発見なのである。 しかし、こんなに好きだと言いつつ、昨年公開された続編を観逃していた不届き者は早稲田松竹公開を待った。そして、今週観てきました。

相変わらずラテン特有なのか、オープンマインドで心情をさらけ出す人間の美しさがそこにはあった。

一人一人をフィーチャーし、物語をあぶり出す手法を継承しつつ、映画以降の彼らも描いていて、ある種ドキュメンタリーであったブエナビスタソシアルクラブを、斜めから構えてドキュメンタリー的な形で作っているのもユニークであった。

特に今回特筆すべきはスペインからの植民地時代、アメリカマフィアの傀儡政権時代、カストロによる革命とその後の混迷というキューバの歴史を添えて語られるストーリー。これは、この人たちがただ異国の地の独特の環境で生まれた天然記念物的存在ではなく、厳しい社会情勢に翻弄されながら生まれた苦しみの音楽であることを語る。

そしてオリジナル版公開以降も高年齢にもかかわらず体に鞭打ち精力的に活動する彼らはとてもとても人生を大事にしていた。やりたかった音楽ができる喜びたるや。

一方で、私たちの苦しみの音楽がこの世界中の人たちに本当にわかるのだろうか?という投げかけが冒頭で行われている。

彼らがミュージシャンとして評価され、みんなに愛されればされるほど、共産主義国の政策により諦めざるをえなかった音楽活動への悲しみも逆に深く深く見えてくるようであった。

一度資本主義世界で商品化されると、瞬く間に大衆に広がる感じが、あまりにも共産主義の中での彼らの立ち位置の過酷さと対比され、なんとも言えない切なさを感じてしまったのである。そして、ニルバーナのカートコバーンが過酷なライブツアーやセールスで磨り減っていったように、華々しい商業化にはどこか虚しさもつきまとうもので、もしかしたら、そんか疑問も彼らのなかで生じていたのかもしれない。

そんな気持ちを想起させるためか、今回の映画は彼らの過去をより深掘りすることで、もう少し彼らの心のうちに近づけられるような作りになっている。 そして、彼らはそんな葛藤をかかえながらも、最後のツアーであるアディオス(サヨナラ)ツアーへと旅立つのであった。

結局いろいろな葛藤があるのだけも、そんな共産主義と資本主義の狭間で揺れた彼らの人生において開いた遅咲きの花、彼らのステージパフォーマンスは最高につきる。そして、どこかに闇がありつつも、陽気な彼らのキャラクターに深い愛を抱いてしまう。


今が最高の人生、それが最高ではないか!


思い出すだけで涙腺やばいのですが、彼らがその後どうなったのかは映画を見ていただきたい。個人的にはもはやスターウォーズのサーガ的な世界観までをも彼らに感じてしまい、なんだかもう感謝しかないです。そして、自分なりの人生の祝福の仕方を見つけたいと強く思わされるのです。


負の遺産をかかえながらも、力強く生きた彼らの人生自体がアートでした。


アイウェイウェイ監督作「ヒューマンフロー」の重み

 

日々のニュースを少しでも目にしていれば、シリアの戦争によって大量の難民が発生している事は少なからずみんな知っていると思う。しかし、アイウェイウェイのヒューマンフローを観てからは、難民という言葉に対しての理解がまだまだ乏しいことを痛感させられるだろう。


中国の異端芸術家アイウェイウェイが難民を追いかけた壮大なドキュメンタリー、ヒューマンフローが渋谷イメージフォーラムで公開中だ。

私たちが思う難民とは貧しくて飢えに苦しむどこか遠い国の人というイメージが多いのではないか。しかし、この映画でスマートフォンを持って次の避難先、出国ルートを探す彼らは我々となんら変わらなかった。来ている服もアディダスやノースフェイスだったり、私たちの日常そのものであった。

そして、ニュースなどでよく見る各国の難民受け入れへのネガティブな反応。閉じられる各国の国境は、難民の大移動と連動し、現在進行形で行き場を失っていく…

本作の留意点としては、各国がなぜ受け入れられないかの説明はほとんど入れずに、想像を超える数の難民が発生していて、しかも、シリアに限らず全世界的に起こっていること。それを情に訴えることにフォーカスしている点である。

個人的に印象的だったのは、数十人の難民の男たちが人権に対して訴えかけている時に、もうどうしていいかわからなくて涙を流す男。涙が止まらない男。その裏にはどんな悲劇があったのだろうか、何度涙を流してきたのだろうか。感情移入せずにはいられない。

これらを突きつけられてあなたはどう行動するだろか?イラク奪還の際にISが油田につけ放った火が燃えて空一面が煙で真っ黒になっている光景、インタビュー中に嘔吐してしまう女性、未だ見たことのない無情な世界が心に訴えかけてくる。

議論を盛り込んでこなかった点に関しては不完全燃焼であったが、そういうことではなく何ができるんだろうか?改めて自分の胸に問いかけてくる映画だった。

それは難民問題だけではなく、日々起こっている対岸の火事の出来事とどのような距離をとっていくか、あらためて考え直したいなと思う今日この頃です。もちろん税金を納めることで代わりに国がやるべきことや尻を叩かねばならないこと、山ほどあるでしょうが。


official page)
http://www.humanflow-movie.jp

 


P.S.クレイジージャーニーでいじられ気味な丸山ゴンザレスさんがゲストで、映画の要旨を自身の経験交えてお話し頂き、適確な解説でした。これを知る前と知ってしまった後では何かが変わってしまう、そういう映画だったのです。

 

丸山ゴンザレス

 

JUGEMテーマ:映画の感想

【追悼】ゾンビ映画界の巨匠ジョージAロメロと東京ゾンビと東京マリオネット

7/16にゾンビ映画界の巨匠ジョージAロメロが亡くなった。

 


東京マリオネットPV作りにあたって、ゾンビ映画を見たことなかった僕に、

清洲監督が手渡したのがゾンビ映画の金字塔「Dawn Of The Dead」

 

これ見てゾンビの動き学んだし、ゾンビ映画がただのホラーではなく、

大量消費社会へのアイロニカル的な視点から生まれたことを知りました。

 

 

ゾンビになると無意識ゆえに、生前の行動を繰り返すのだそうです。

アメリカの郊外の巨大ショッピングモールには沢山ゾンビがいました。

 

 

それを考えると自分がゾンビになったら毎日満員電車にのっては、

一駅一駅乗っては吐き出すを繰り返すのかな〜とか思ったりしながら見てました。

 

 

 

 

ただ、わがゾンビ観としては、当時の暗黒時代の自分の投影だったり、

いろんな要素がありますが、元々は感情を押し殺しながら自発性なく

繰り返す行動自体がゾンビだねってところが原点です。

 

 

瞳の奥底から、細胞を介して繋がる心の中には人間性が残っているんだけど、

体が言うこと聞かないよー、日々の生活のために、まるで操られてるみたいに

電車に乗っては疲弊してるよー。といった魂の叫び。

 

 

そして、何よりそれを音楽に消化する喜び。

 

 

そういったアイロニカルと表現という点でシンパシーを、ゾンビPV撮影前に

出会ったロメロの「Dawn Of The Dead」に強く感じたんです。

 

 

以上、踏まえてみるとまた変わってきませんか?

 

 

R.I.P. George A. Romero
 

 

 

JUGEMテーマ:最近みた映画

オーバーフェンス・永い言い訳

早稲田松竹へ。

 

二本とも心の奥底に深く深く突き刺さる映画でした。

 

 

「永い言い訳」西川美和

 

西川美和と山下敦弘のトークショーをはさみ、

山下監督も言っていたけど、終始涙が止まらず見てしまう作品でした。

 

妻と不仲の中年の物書きタレントが、不慮の事故で妻を失って、

しかしこれっぽっちも泣けなかった。しっかりそれを受け止め

ようともせず、日常を淡々と過ごしているが、同じく母親を

亡くした家族と出会うことによる心情の変化を描いている。

 

明るさの裏の重たさがひしひしと心を揺さぶり、

何よりも、出会った子供達の直接的な悲しみの

描写は一切出さず、事故後の淡々とした生活が

送られる故のさらけ出せなさがやるせなく、美しい。

 

ただ、個人的には、本木雅弘演じる主人公は

もうちょっと辛い目にあって欲しかった気もする。

ちょっと虫がいい印象も受けてしまった。

 

ちなみに西川美和の「夢売るふたり」が結構えぐかったので、個人的にすごく好きでした。

何でこんな穏やかで、美人な人にこういうの書けるのか、闇が深そうでちょっと好きです。

 

 

「オーバーフェンス」山下敦弘

 

山田孝之の北区赤羽、山田孝之のカンヌ映画祭でお茶の間活躍中の山下監督。

 

オーバーフェンスは函館の職業訓練校で大工の技術を学ぶ若者、中年、おじさんを描いた作品だ。

 

みんな訳あってここへ集い、人生の淀みの中で粛々と生きている。

離婚、失業、行き場がなくただ通っている人。

失業保険でやりくりしながら、東京都は全く異質な時間の流れる中で

歪んだモラトリアムを過ごしている。

 

男たちはみんな学校に行くノリで笑っているけど、

中学高校のそれとは明らかに違う、重たいものを背負っている。

一度何かを失って、でも社会に属していたくて。

という、ある種、現代社会のしがらみからは逃れられない男たちの物語でもある。

 

映画の流れとして、理由はわからないけれど社会に順応できない

バックグラウンドが徐々に明るみになって行く。

多くは語らないで背中で見せるというか、考える隙間を与えてくれ、

見るものを引き込む力がありました。

 

 

しかし、何でしょう、この重たさは。

 

 

中でも、森という大学中退の仕事も全然できない、

コミュニケーショも取れず、でも無駄にとんがっている若者の存在が

この映画の重さを格段に上げている。

 

自分の表現の仕方がわからない、今やっていることが正しいのかわからない。

何だか納得いかない若者。いる。いると思う。

 

自分も一歩誤っていたら、なりかねない。

自信の持てるもの一つでもあればいいけど、

全くない場合、ああなると思う。

 

 

ああいう人は表に出ない。しかし、一定数いる。

 

 

今の社会は彼を救わない。

 

 

彼以外も、社会に順応できない人たちではあるけど、

失業保険で職業訓練学校に行くという意味で、社会の枠に収まっている。

 

 

そこが彼との大きな違いであり、映画のコントラストでもある。

 

 

この映画は全体として、個人の不器用さもあるが、社会の仕組みに

翻弄されてしまっているけど、どうしていいかわからないけど、

それでも食いしばって生きて行く美しさをたたえている。

 

 

優しい時間の流れる素敵な映画でした。

 

 

そのほか、蒼井優のぶっ壊れる演技の凄まじさなど

見応えがありありで、山下監督をもっと追いかけようと思いました。

 

 

しかし、山下監督は人の心の痛みとか、しっかり感じられそうな人だな。

 

 

【早稲田松竹で3/3まで公開】

http://www.wasedashochiku.co.jp/lineup/nowshowing.html

 

 

JUGEMテーマ:最近みた映画

愛犬との別れと世界との距離を描いた映画「ハートオブドッグ」ローリーアンダーソン

2013年に死去したルーリード。

 

その奥さんであり芸術家のローリーアンダーソンの映画を下高井戸シネマで見た。

 

愛犬の死と、愛犬との距離から見えてきた人間世界を生きることを

詩のように美しい彼女のナレーションと音楽と映像美で物語は紡がれる。

 

誰かの死を乗り越えること、愛とは何か、様々な思考の教科書みたいな映画で、

今まで見てきた映画や本の中で、自分の人生のマスターピース的存在です。

 

 

まず、彼女の独得な物の見方のユニークさに心をゆすぐられる。

時に犬の視点でものを考え、人間との共通項もしくは差異を見出す。

 

例えば、

 

9.11以降の鬱屈から逃れるためにカリフォルニアの山に愛犬のロラベルと足を運ぶようになる。

ある日、大きな鷲がロラベルを狙って降下してきた、その恐ろしい体験からロラベルの視野は空を意識するようになった。

これは9.11以降のアメリカ人と似ている。

 

独得な視点に、見る側の想像力は掻き立てられていく。

 

最近の映画は技術の進化も相まって、いかに直接的にリアルに

体感させるものが多くなっているが、こういったシンプルな語り口調と

美しい映像との組み合わせのコラージュは、万華鏡を覗くような美しさがある。

 

自分の頭の中でいくつもの扉が開かれ、新たな景色を求めて進んでいくようだ。

 

映画の説明でも触れている通り、これらはロラベルの死の悲しみを

治療するためのセラピーのようなものである。

 

動物から遠ざかっていく人類、近代から情報化社会へ向かっていく現代的な

視点も交えながら話は進んでいく。

 

何だろう、この人の思考回路は。

 

愛犬の死からここまで広い視野で物事を考えられるなんて。

そして、一見気難しい内容かと思うところもあるが、全てが日常にリンクしていて、意外とスッと入ってくる。

 

動物と人間を差異化してみるけど、共通するところは共通するところとして捉え、

違うところは違うし、でも人間のように愛するし、病気になっても楽しく

生かしてあげようとクリエイティブだし。動物へのリスペクトがある。

 

もちろん哲学的な深い深い思考も沢山あり、一つ一つもっと吟味したい。

本やレコードのように何度でも見返したい作品でもある。

 

今は、気になりすぎるフレーズが沢山あり

 

「死ぬとは愛から解放されること」

 

など

 

終わった後も、物思いにふけりたくなる。

 

また、犬を飼ったことがある経験のある人には、

その死を再解釈することのできる貴重な体験になるでしょう。

 

とてもとても愛おしい映画でした。

 

 

追記)

下高井戸シネマでは1週間しか上映しないし、

DVDも出ない気がします。

 

 

JUGEMテーマ:最近みた映画

涙なくして見られない米タワーレコードの栄枯盛衰

先日年始のセールを漁りに新宿に出たついでにタワーレコードへ。

 

そういえば、1年くらい行ってなかったなとふと思う。

 

しかし、試聴機コーナーがずっしり並んで、

全部聞く時間がない人向けにオススメは3番、6番てな具合で

手書きポップが必ず貼ってある。

 

いろんな音源が試聴できて面白かったし、

やはり対面販売の良さを改めて感じました。

 

そして、そういえば2016年公開のタワレコのドキュメンタリーが

あったなと思い、アマゾンプライム漁るとありました。

 

 

オールシングスマストパス。

言わずと知れたジョージハリソンの名作、

「ALL THINGS MUST PASS」から拝借している。

 

 

結論、音楽ファンは涙なくして見られない

超絶ロック・音楽愛に溢れた感動物語でした。

 

60年代以降のロック黄金期以降の流れに関しては、

だいたいロック偏差値50くらいで頭に入っていると思うのだけど、

売り手側の視点で描かれているで点で新鮮である。

 

そもそもの始まりは創業者ラスソロモンの父親が営む

タワーシアターという映画館の、何ともアメリカ的なモーテル感がたまらない。

(映画館の建物に併設して、とにかく何でも売る店で

 レコードを売り始めたら成功したのがきっかけだ)

 

 

タワーレコードがアメリカ生まれであることを思い出させました。

 

そして、そこから60年代のロック黄金期とのクロスオーバー、

また、その時代的偶然性だけでなく、自由な精神で店員が

面白いお店を作っていった過程がこの上ない。

また、日本タワーレコードの立ち上げの過程も非常に興味深いのだ。

 

これ以上は内容控えますが、ドキュメンタリーでは

エルトンジョン、ブルーススプリングスティーン、デイブグロールが

絶賛しまくっているのがよりリアル。

 

そして、誰もが知っている通り、

タイトル通り最後の店仕舞いまでの過程が描かれており、

何ともこの上なく切ない内容です。

 

映画の作りが素晴らしかった。

 

で、クレジット見たら監督「コリンハンクス」

トムハンクスの息子なんですね〜。

 

昔「ロズウェル星の恋人たち」に出てたやぼったい感じのやつ彼だったのか〜。

 

というか僕少し似てるかも。

 

なんかいいですよね〜。

 

題材もいいし、映画の構成も本当に素晴らしかった。

 

<ちょっとネタバレ>

 

しかし、一方で不満点をあえて言わせてもらうと、

 

あまりにも美化されているところがちょっとどうなのかという疑念はあった。

経営者らのイケイケどんどん精神やおごりが衰退、社員の解雇という

悲しい結末を呼んだわけで。

 

もちろん映画の中では触れられているけど、ちょっと軽く感じる。

(また、かねてから音楽業界の拝金主義的な感じに少し愛憎あり)

 

もっとどうにかならなかったのかなぁって悔しい思いが。

 

しかし、これはアメリカ市場と日本市場の違いもある。

 

アメリカは不法ダウンロードの進み具合が凄まじく速くて、

しかも浸透したし、CDを安売りするショッピングモールの存在もでかかった。

それで2006年にはレコード会社への仕入れ代金の不払いとかも起きて破産。

 

最後、創業者ラスソロモンが日本に来て、日本のタワーレコードだけは

生き残っているがこれは子供だ。ってな締めくくるのが腑に落ちなかったんです。

 

しかし、HMVやバージンレコードが潰れていったことを考えると、

日本のタワーレコードは本家のマインド持ちつつ、

独自路線で頑張っているのは確かだけど。

 

でで、改めるて調べると、この最後は日本版だけの特別映像っぽい(多分)

 

これ自分だったらオリジナル版でも絶対入れたくなるけど、

省いたコリンハンクスの手腕!

 

ALL THINGS MUST PASS...

 

必見!

 

P.S.

これをアマゾンプライムで見たのが

少し皮肉になってしまって申し訳ない。

 

JUGEMテーマ:最近みた映画

「EIGHT DAYS A WEEK」でビートルズに恋い焦がれて

遅ればせながら下高井戸シネマにてエイトデイズアウィーク見てきました

 

beatles

 

ビートルズがなぜあんなに熱狂され、そしてLIVE演奏を一切しなくなるまでの過程を、

ビートルズの有名なエピソードもしっかり抑えつつ、盛り盛りで進んで行くストーリーは圧巻でした。

 

それにしてもLIVEでの黄色い声援のクレイジー加減は相変わらず異常です。

 

しかし、これを見ていて、時代は彼らを必要としていて、戦後の物質にありふれ、

時代の波で生まれて行ったベビーブーム世代のオギャーという声が拡張された

だけなんじゃないかとも思いました。

 

そして、彼らというと、解散に向かって険悪になっていくストーリー性に

捉われがちですが、その前に結束力が彼らを支えていたことに気付かされます。

これ今のアイドルの鉄則みたいなところありますね。

 

ビートルズといえば、マスコミへのインタビューのちょろまかし具合も有名ですが、

改めてその反逆具合やユーモア(返し早っ!)も人気を牽引した要因なのだなぁと思いました。

また、波長の合う4人だからこそできた勢いみたいなものもあった気がします。


何をやるにも4人の同意が必要でという語りがありましたが、まず波長が合わないと揃うものも揃わないでしょう。

 

最後に映画の構成もやはり素晴らしく、バラバラになった後の個々のインタビューのミックスが最高!

ジョンとジョージの回想トークを切り貼りして「ジョージ:俺たちの目標ってなんだ?」「ジョン:トップだ」と

あたかも一緒に話しているように臨場感ある会話にしていたのは涙が出そうになりました。

 

一部神格化し過ぎ感も否めないですが、

ビートルズに再び恋をしてしまうこと間違いなしの映画です。

 

 

JUGEMテーマ:ROCK

あの頃ペニーレインとラブ&マーシー
早稲田松竹で見た2本の感想。


ロックラバーにとって、60年代〜70年代のロック全盛期というのはファンタジーめいていて神秘性を保持している。

ビートルズ、ビーチボーイズ、ジミヘンドリックス、ジャニスチョップリン、ボブディラン、ドアーズ、デビッドボウイ、レッドツェッペリン...

セックス&ドラッグ&ロックンロール


But I am 一般ピープル


そんなただのロックラバーをロックンロールファンタジーに誘う映画が

「あの頃ペニーレインと」

16歳でローリングストーン誌の記者になったキャメロンクロウ監督の、
実体験を基にした映画で、ストーリーも1970年代アメリカで、
ティーンネイジャーがバンドのツアーに同行し、バンドのグルービー
ペニーレインと出会たり、バンドの実情を知ったり。という展開だ。

その世界では恋人が別にいるけど、ツアーで女をつまみ食い、
バスで全米中をツアーし、ドラッグ&パーティー三昧。


ロックンロールファンタジーだ。


だけど、グルービーのペニーレインは言う、


「私たちはグルービーとは違うの。音楽を愛し、ロックンローラーを全面的にサポートすることで、スピリチュアルな精神を与えるの。」


この辺の発言がこの物語の最後につながってくるのだけれど、
最後はロックンローラーにならない自分も肯定できるというか、
まぁなるチャンスがないだけなんだけど、ロックンロールファンタジーは
ただのファンタジーでしかないかもしれない、ロックンローラーはクソだ!

なんて思ったりするのである。

ある種人間のしょーもなさとの戦いなんだけど
最後のシーンはグッとくる。


ロックで愛とか叫ぶ前に人としてまともでありたい


そんな映画だった。


トムヨークはこういった

「誰でもギターは弾ける、でもジムモリソンにはなれやしないんだ」

僕は90年代世代でまともなアーティストをリアルに応援している。
************************

ちなみに10年前くらいに見えた映画だけど、実はキャストがたまらなくて、
今は亡きフィリップシーモアホフマン、若き日のズーイーデシャネルが出ている。

更にゴシップネタでしょうもないこと言うけど、主演女優のケイトハドソンはその後、オーウェンイルソンと付き合うも別離するが、オーウェンウィルソンはそれが原因で自殺未遂をし、その後結婚したミューズのマシューベラミーは子供までできるも離婚。マシューベラミーも心がめちゃくちゃになったらしく、「ドローンズ」というめちゃくちゃダークなアルバムを作っている。
なんかすごくないですか?


それはさておき、主人公の相談役のフィリップシーモアホフマンの温かい人柄、
主人公の姉役のちょっとぽっちゃりした姉役のズーイエーシャネルのスッチー姿は必見!


************************

「ラブ&マーシー」

ビートルズと人気を二分したアメリカのバンド、ビーチボーイズのブライアンウィルソンの伝記映画だ。

彼がビートルズの「ラバーソウル」に衝撃を受け、それに負けるもんかと「ペットサウンズ」を作り出したが、セールスに恵まれず、次第に病んでいった。
しかし、精神の病を乗り越え、2000年代に入って未完の傑作「スマイル」を完成させる話は知っていた。

その4行の話を素晴らしい手法で映画化しされた映画がラブ&マーシーだ。

なるほど「イントゥーザワイルド」「ツリーオブライフ」のビルポーラッド監督が作ったということで、普通の映画じゃ終わらない、ウィットな作りだ。

まず、ロックミュージシャンにフォーカスするとしたら、
9割くらい栄光に見えるけど、この映画は9割くらいが闇との戦いであった。

その1割は冒頭のオープニングで表現され、それがまた最高のPVというか、
おそらく「アクロスザユニバース」あたりが好きな人にはたまらない映像美で、
60年代のカリフォルニアの輝きを真空パックしており、当時の温度感を
感じられる内容である。

そのほか、ペットサウンズ誕生の一幕がドキュメンタリー風に撮られていたりと、
ワクワクする作りだ。これビートルズ版も作ってくれという感じなんだけど、
ここはブライアンウィルソンの深い闇との対比があるからこそ作った映画なんだろう。


しかし、ブライアンウィルソンがこんなに辛い人生を送っていたなんて。


涙が止まらなくなる、とても愛おしい映画でした。